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【新年のご挨拶】

市場全体のトレンド復調はこれからが本番

【目次】

紆余曲折の末、日経平均株価は29年ぶり高値で年引け

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

壮絶な下げはひとまず落ち着いたのか、という半信半疑状態で迎えた2019年。あろうことか、日本の年始休場中に米国でアップルが下方修正を発表。おかげで1月4日の大発会は大幅安。何とか2万円台に戻していた日経平均株価はギャップダウンの寄り付きであっさり2万円割れ。なおも売られて、1万9241円まで下げています。

不穏なムードで始まった2019年だったわけですが、翌7日にはギャップアップで2万円を回復。以後、2万円を下回ることもなく、終わってみれば、この大発会の安値が年の最安値。12月には一時ながら2万4000円回復を果たし、年の引値は2万3656円。実に29年ぶりの高値です。

年足は18年の大陰線をほぼ取り戻す大陽線。あたかも大発会の安値から着実に回復基調を辿って年を終えたかのようにも見えますが、内実は決して平坦ではありませんでした。この陽線のほとんどは9月から12月までの値動きで形成されたもので、8月までは、18年12月の安値が本当に大底だったのか、底割れするのではないか、という不安が払拭できなかったのが実情です。

大発会の安値から4月までは、時に押し戻されながらも居所を切り上げ、「18年12月の安値が大底」の見込みは確かに強まっていました。ところが、4月27日からの10連休明け前日、トランプ大統領が対中関税強化をツィート。これが引き金となって、令和の初取引となった5月7日から大下げ。

この下落、5月14日の安値で止まったかに見えたものの、反発は弱く再下落。6月4日に2万300円割れの水準まで値を戻しています。この下げ局面で年初から改善していた損益状況が一気に悪化。元の木阿弥状態になってしまった人も少なくなかったのではないかと思います。

ただ、個人的には、この6月4日が二番底的な安値で「これでアクも抜けるのではないか」という期待はありました。18年10月の高値期日はすでに通過し、12月3日の戻り高値からちょうど半年経過した時期だったというのが期待の根拠のひとつです。

実際、6月4日安値の翌日からリバウンド基調となり、期待通りの展開に安堵色を強めていたところ、8月に入って一転。またも米中摩擦が火種となって大下げ。日経平均株価は8月6日、6月4日の安値を下抜けして2万110円という、2万円割れも視野というところまで下落しています。市場全体を見てみれば、TOPIXは大発会と翌7日のギャップが完全消滅。日経JASDAQ平均とマザーズ指数は8月29日まで下げ止まらないという悲惨な状況です。

正直、この下げ局面はショック甚大でした。何しろ、年初の水準まで戻してしまっているのです。つまり、1月からこの8月まで、8ヶ月もかけてやっていたのは、壮大な“往って来い”。バカにするのもいい加減にしてくれと、天を仰ぎ、地を蹴り、もはや脱力感と無力感以外に何もない。と、茫然自失となりかけたその局面が、どうやら本物の二番底的な安値だった模様です。



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9月からの“まくり上げ”で市場の光が一変

9月5日から様相が徐々に変化していきます。日経平均株価は9月終盤から10月にかけて一時大きく下げましたが、早々に勢いを取り戻し、10月16日に年初来高値を更新。11月1日に2万3000円を回復した後は動きが止まったものの、12月13に上抜けして2万4000円に乗せています。

9月からまくって、まくって上げた結果が19年の年足陽線です。そして、この9月からの“まくり上げ”は市場全体の光景を一変させています。

過去1年来の高値安値更新銘柄数の動向を見ると、8月までいかに市場全体が弱々しい状況にあったのかがわかります。日経平均株価をはじめインデックスは18年12月の安値を割り込まず、居所はそれなりに切り上がってはいても、実態がついていっていない。市場の実態はまだベア相場から脱していないと解釈せざるを得ない、恒常的な「高値更新銘柄数<安値更新銘柄数」です。

それが9月を境に高値・安値更新銘柄数の優劣がはっきりと逆転しています。高値更新銘柄数の水準自体はまだ高くはありませんが、これは明らかに市場全体のトレンドが転換したことを示唆しています。要するに、この段になってようやく「18年12月の安値が大底」が示唆されたということです。それにしても、「大底」が示唆されるまでに10ヶ月もかかるとは。実に長かった。。。



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米国市場は異例。日経平均株価も“出来すぎ”。その他市場は道半ば

かくして、日経平均株価は18年10月の爆下げが本格化した10月5日-9日の大ギャップを埋めるに至っています。19年の引け値は2万4000円を維持できませんでしたが、10月3日の最高値も射程内と言って差し支えない水準でしょう。

さらに、米国市場に目を転じれば、日経平均株価どころではない。史上最高値を更新しているという絶好調ぶりです。

と、これだけを見ると、国内外とも株式市場は18年の爆下げを完全に克服した、と映っても不思議ではありません。

しかし、そんな中にあって自分の持ち株の評価額はどういう状況になっているでしょうか。18年のピーク時に近い水準まで回復している、という人は少数ではないでしょうか。というのは、最高値更新モードを続けている米国市場は世界的に見て異例中の異例。最高値を更新していない日経平均株価にしても、出来すぎと言っていいくらいの上げ方をしているからです。

たとえば、日本国内のインデックスでもTOPIXは10月の高値までまだかなり値幅があります。18年1月の最高値はさらに先です。

メジャーな指数とは言えないかもしれませんが、東証マザーズ指数は18年2月からのベア相場が終わったのか、まだ怪しいような雰囲気です。

日本国内だけではありません。欧州全体のインデックスも、新興国株のインデックスも、やはり18年の高値はまだ先、といった水準でしかありません。

結局、国内外の大方の市場は18年のベア相場を完全克服しているわけではない、まだ道半ばというような状況にとどまっています。

日本市場に関していえば、先に図4で見た通り、高値更新銘柄数が安値更新銘柄数を上回る状況に転換してはいます。が、銘柄によるマチマチ感がいまなお強いのが現実です。おそらく、自分の持ち株の損益状況もそうなっているのではないかと思います。調子よく値を上げている銘柄がある一方で、安値圏は脱しとはいっても上値の伸びが悪い、基調が上向いたと思ったところがレジスタンスにぶつかって頓挫して大きく押し戻されてしまった等々、そんな銘柄も少なからずある。そうなると、持ち株トータルの評価額はひと頃よりは改善してはいても、18年のピーク時の水準にはまだ遠い、ということになってしまいます。

そうなっているとすれば、それは持ち株の構成が悪いのではなく、極めて正常。道半ばにある市場実態を端的に映し出しているにすぎません。自分だけではなく、ほとんどの人が似たような状況になっていると考えて間違いありません。

果たして、このマチマチ状態が解消されて、道半ばにある市場実態のトレンドが完全に復調するのか。これが2020年最大の焦点です。



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年末の処分売りで“アク抜け”完了か

ここでまず考えてみたいのは、持ち株がマチマチ状態にある中で年末が近づいてきた場合、一体どういう行動を取るか、です。

個人の参加者であれば、年間の譲渡益課税を減らすために利益確定とともに損切りをバンバンやるのが例年見られる行動です。ちなみに、JPXが毎週公表している投資部門別売買動向によれば、現金・現物個人は10月第2週から12月第3週まで、11月第3週を除いて全て売り越し。相場が良くなって積極的に売りまくっています。

今年10月以降に積極的な売りを出している投資主体は他にもいそうです。たとえば、モーニングスター社では、投資信託の資金流出入動向を毎月発表していますが、10月、11月と連続で流出超。12月も流出超となる見通しです。とくに流出額の大きいのが国内株式型とのことで、相場が良くなってきたが故の“ヤレヤレ”的な解約が主体と見られます。

となれば、その解約に対応するために投資部門「投資信託」も株式を売ることになります。11月に入ってから日経平均株価は上値の伸びが悪くなり、また、小型・新興株も売り圧力の強さを感じる場面が時折ありましたが、そうした売りが背景のひとつだったのではないでしょうか。

加えて、12月後半は外国人も売りを積極化した可能性があります。外国人投資家もおそらく9月辺りまで利益が出ていなかったと思います。それが年末近くになって損益が改善してきたとなれば、年末年始の休場中のリスク縮小の意味も含めて、利益は取り、ダメなものは処分するはずです。外国人投資家の損益評価は約定日ベースですから、大納会の日まで積極売りをしていたかもしれません。

この年末処分に際して、長らくトレンドが改善しなかったダメ銘柄が見切り売られたとすれば、それで市場全体の足枷が軽くなる、いわばアク抜けが完了することは大いにあり得る話です。投げるものは投げ、去る人が去れば、市場の実態は本格的に改善に向かいます。その最終的な動きが起きるのは、巨額損失の確定を余儀なくされる爆下げのクライマックス局面ではなく、我慢に我慢を重ねた末にようやく市場が上向いてきた初期段階です。トータルで利益を残すことができる状態になっているその段階なら、投げるものを苦痛なく投げることができるからです。

それが実際に起きていたのかは知る由もありませんが、19年の大納会の弱い終わり方はその一端を示しているかのようにも見えます。 大納会は、これで新年は大丈夫なのか、という大引けでしたが、これはこれで悪くありません。少なくとも、猫も杓子も「株、株」はしゃいで年末高で引けるよりもよほど好感できます。



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日経JQ平均の「素直な値動き」回帰は中小型株に朗報

さて、年末年始の休場中、米国市場は1月2日に最高値を更新。ところが、米国がイラン精鋭部隊の司令官を殺害し、他方、イランも報復を表明したことから、米国と中東の関係悪化を警戒して3日の米国市場は大幅下落。ドル円は一時107円台をつけ、3日のシカゴの225先物は350円安の2万3290円で引けています。これで大発会は12月12日-13日のギャップを完全に埋める大ギャップダウンで始まるのはほぼ確実。チャートの教科書的に言えば、アイランド・リバーサル型の弱気パターンです。

よりによって年明けからそんなパターンにならなくても、という気もしなくもありませんが、しかし、これまた猫も杓子も「株、株」はしゃいですっ高値でスタートするよりもよほどマシです。また、19年がそうだったように、年初に悪材料が出て大下げすることが年を通じての悪い相場を暗示するわけでもありません。

2020年がどんな相場になるのか、市場に何が起きるのか、当然ながらわかるはずはありませんが、ただ、現状は基本強気スタンスでよいと思っています。というのは、19年の市場にいくつかのポジティブな変化が起きているからです。

繰り返しになりますが、そのひとつは高値・安値更新銘柄数の優劣逆転。そして、もうひとつ、日経JASDAQ平均というインデックスの値動きに好ましい変化が現れていることです。

18年の年頭所感でもふれていますが、日経JASDAQ平均は本来、非常に素直な値動きをするインデックスで、日足でも週足でも月足でも、市場全体が良好な局面では陽線が美しく連続する傾向が強くあります。ところが、18年2月の爆下げを機にその性格が失われ、全くもって美しくないチャートを描く指数と化してしまいました。

その値動きが19年9月を境に本来的な姿を取り戻しつつあります。9月当初は勢いが弱く、上げ方が小幅だったため、株価水準自体は18年の高値に遠く及びませんが、10月半ば以降は日経平均株価を上回る軽快な動きを見せています。日経平均株価の上値の伸びがストップした11月も年初来高値を更新し続け、大納会も年初来高値更新のほぼ高値引けです。

過去を振り返ると、この日経平均株価との関係は16年12月以降の状況にも似ています。

日経平均株価は16年12月から17年8月まで2万円のレジスタンスを抜け切れず、長らく横ばい状態を続けていました。対して日経JASDAQ平均は、この時期に揚々と上値を伸ばしています。月足も17年4月を除いて全て陽線。何とも美しい。

この指数がこうした上昇を見せるときには、JASDAQ上場銘柄に限らず、中小型株が非常に良い動きをします。あくまでも経験則的な見解ですが、この指数が本来的な素直な値動きに回帰することは、中小型株にとって朗報と言ってよいと思います。

いまなおマチマチ感の強い市場全体を見渡すと、バリュエーション面で非常に割安のまま放置されている中小型株がゴロゴロあります。そうした中から、トレンドが動き出す片鱗が現れている銘柄に注目してみるのも手です。日経JASDAQ平均が素直な値動きを続けていれば、必ずやその銘柄にも恩恵があります。延いては、市場全体の道半ば状態も終了するはずです。

具体的な候補銘柄を探すうえでは、当サイトの過去3ヵ月高値更新銘柄リスト、場中の極端な動きを拾った珍妙チャートの銘柄リストを参考にしてみてください。「動き出す片鱗」が見つかると思います。また、当サイトの「4本値市況」欄では日経平均株価と市場全体の動向の相違を確認することができます。日経平均株価が上値を伸ばせず、冴えない動きをしているときにはとくに要チェックです。

本年も、データを中心に皆様の一助となる情報を提供していく所存です。是非ご活用ください。


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