\bm{x}^{\bm{n}}を微分すると「\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}」になるのは何故?(2)


\bm{y}=\bm{x}^{\bm{3}}の微分をせっせと計算してみる

前ページで見てきた結果


    \bm{y}=\bm{f}\bm{(}\bm{x}\bm{)}=\bm{x}^{\bm{1}}\bm{x}で微分すると、「1」。

    \bm{y}=\bm{f}\bm{(}\bm{x}\bm{)}=\bm{x}^{\bm{2}}をxで微分すると、「2x」。


から考えると、y=f(x)=x^{3}をxで微分したらどうなるか、もう予想がつくと思います。


果たして予想通りになるかどうか、少々面倒なのですが、計算してみることにします。


まず、定義式の分子「\text{⊿}y=f(x+Δx)-f(x)」は、


 \text{⊿}\bm{y}=\bm{f}\bm{(}\bm{x}+\text{⊿}\bm{x}\bm{)}-\bm{f}\bm{(}\bm{x}\bm{)}=\bm{(}\bm{x}+\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}-\bm{x}^{\bm{3}}


となります。


これを計算するために、(x+a)^{3}の展開式を思い出しておきましょう。

先ほど使った(x+a)^{2}の結果を活用すると、


 \bm{(}\bm{x}+\bm{a}\bm{)}^{\bm{3}}=\bm{(}\bm{x}+\bm{a}\bm{)}(\bm{x}+\bm{a}\bm{)}^{\bm{2}}=\bm{(}\bm{x}+\bm{a}\bm{)}\bm{(}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{2}\bm{a}\bm{x}+\bm{a}^{\bm{2}}\bm{)}

        =\bm{x}^{\bm{3}}+\bm{2}\bm{a}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{x}\bm{a}^{\bm{2}}+\bm{a}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{2}\bm{a}^{\bm{2}}\bm{x}+\bm{a}^{\bm{3}}

        =\bm{x}^{\bm{3}}+\bm{3}\bm{a}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{a}^{\bm{2}}\bm{x}+\bm{a}^{\bm{3}}


と出てきます。


この「a」の部分を\text{⊿}xに置き換えれば、


 \bm{(}\bm{x}+\text{⊿}\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}=\bm{x}^{\bm{3}}+\bm{3}\bm{(}\text{⊿}\bm{x}\bm{)}\bm{x}+\bm{3}\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{2}}\bm{x}+\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}


です。


そうすると、\text{⊿}y=f(x+Δx)-f(x)


    \text{⊿}\bm{y}=\bm{(}\bm{x}+\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}-\bm{x}^{\bm{3}}

         =\bm{(}\bm{x}^{\bm{3}}+\bm{3}(\text{⊿}\bm{x})\text{・}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{2}}\text{・}\bm{x}+\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}\bm{)}-\bm{x}^{\bm{3}}

         =\bm{3}(\text{⊿}\bm{x})\text{・}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{2}}\text{・}\bm{x}+\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}


となって、x^{3}が消えてしまいました。

さらに、この式の各項に「\text{⊿}x」が入っています。

これを括り出してしまうと、


     =\bm{x}\bm{(}\bm{3}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{x}\text{・}\bm{x}+\text{⊿}\bm{x}^{\bm{2}}\bm{)}


という形にまとまります。


これが分子で、分母はΔxですから、、ここでもまたΔxが約分できます。

その結果、


     \displaystyle \frac{\text{⊿y}}{\text{⊿}\bm{x}}=\frac{\text{⊿}\bm{x}\bm{(}\bm{3}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{(}\text{⊿}\bm{x}\bm{)}\text{・}\bm{x}+\bm{(}\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{2}}\bm{)}}{\text{⊿}\bm{x}}

       =\bm{3}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{(}\text{⊿}\bm{x}\bm{)}\text{・}\bm{x}+\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}


となります。


これまでやってきたのと同じように、⊿xの値をどんどん小さくしていって、それこそゼロに限りなく近いくらい微々たる値にしたとすると、この式の中の「3(⊿x)・x」は非常に小さい値になるであろうと予想できます。

ましてや、その極々微々たる⊿xを2乗した値(Δx)^{2}ともなれば、もはや「ゼロ」といってもいいくらいの値になるはずです。


たとえば、⊿xが0.00001だとすると、「3\timesx」の値は「0.00003」。

これにxを掛けたとすると、少なくとも「3x^{2}」に比べればかなり小さい値になることは間違いありません。

さらに(Δx)^{2}となると、小数点以下が2倍増えて「0.0000000001」です。


とすれば、⊿xを極々微々たる値にしたときには、もう「3\text{⊿}x)・x」や「(\text{⊿}x)^{2}は無視できるくらいの値になって、数らしい数は「3x^{2}」しかない、という状況になる、と考えてもよいのではないでしょうか。


実際に、x=1\text{⊿}x=0.0001で計算してみましょう。

\displaystyle \frac{\text{⊿y}}{\text{⊿}x}が「3x^{2}」に近い値になるとすれば、計算の結果は「3\times 1^{2}=3」に近い値になると予想されます。


      \displaystyle \frac{\text{⊿}\bm{y}}{\text{⊿}\bm{x}}=\frac{\bm{(}\bm{1}+\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}\bm{)}^{\bm{3}}-\bm{1}^{\bm{3}}}{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}}=\frac{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{3}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{3}}{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}}=\bm{3}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{3}


と、確かに、3に近い値が出てきました。


x=2\text{、}x=0.0001としたらどうでしょうか。ちなみに、xが2ならば、3x^{2}は「12」です。


     \displaystyle \frac{\text{⊿}\bm{y}}{\text{⊿}\bm{x}}=\frac{\bm{(}\bm{2}+\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}\bm{)}^{\bm{3}}-\bm{2}^{\bm{3}}}{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}}

       =\displaystyle \frac{\bm{8}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{1}\bm{2}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{6}-\bm{8}}{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}}

              =\displaystyle \frac{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{1}\bm{2}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{6}}{\bm{0}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{1}}

              =\bm{1}\bm{2}\bm{.}\bm{0}\bm{0}\bm{0}\bm{6}


ちゃんと「12」近い値になってくれています。


⊿xをもっともっと小さい値にすれば、さらに「3」や「12」に近い値になるであろうことは想像するに難くありません。


y=f(x)=x^{3}を微分して出てくる結果は「3x^{2}」と言ってよさそうです。



\bm{(}\bm{x}+\bm{a}\bm{)}のn乗」の展開式。「\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}」の係数に注目

ここまで見てきた、y=f(x)=xy=f(x)=x^{2}、そしてy=f(x)=x^{3}と、3つの関数を微分した結果を見比べると、あるパターンが見えてきます。


繰り返しになりますが、


    \bm{y}=\bm{x}^{\bm{1}}をxで微分すると「1」

   \text{ }\bm{y}=\bm{x}^{\bm{2}}をxで微分すると「\bm{2}\bm{x}

    \bm{y}=\bm{x}^{\bm{3}}をxで微分すると「\bm{3}\bm{x}^{\bm{2}}


です。


いずれも微分した結果は、もとの関数の「xの何乗」という指数部分の数字が前に出てきて、xの指数はもとの「何乗」の数字よりも1つ小さい値になっています。


「何乗」というのを「n乗」と表せば、「y=x^{n}」という関数をxで微分すると、その結果は、


             \bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}} 


という形です。

まさに、かつて習った公式で、これは、n乗がいくらでも当てはまる、というのです。


このように、丸暗記で機械的にやってしまえるのは簡単・便利で嬉しいことではありますが、しかし、なぜ、そんなふうにやってしまってよいのでしょうか。


まず、nが自然数の場合ですが、これは「(x+a)^{n}を展開すると、その展開式にはある規則性がある」ということと関係しています。


今一度、(x+a)^{3}を例に考えてみます。


これは、さっきも述べたとおり(x+a)(x+a)(x+a)のことです。

カッコが3つあって、それぞれのカッコの中には「x」と「a」という2つの要素が入っているわけですが、これを「展開する」とは、


①3つあるカッコそれぞれから、「x」か「a」か、どちらかを選んで、選んだ3つを掛ける

②考えられる全ての「x」と「a」の組み合わせでそれを行い、掛けて出てきたものを全部足す


という作業を意味します。具体的には、


・.3つのカッコ全てから「x」を選ぶ・・・・・・・・x\times x\times x=x^{3}

・最初のカッコから「x」、真ん中のカッコも「x」、最後のカッコは「a」・・・x\times x\times a=ax^{2}

・最初のカッコから「x」、真ん中のカッコは「a」、最後のカッコは「x」・・・x\times a\times x=ax^{2}

・最初のカッコから「x」、真ん中のカッコは「a」、最後のカッコも「a」・・・x\times a\times a=a^{2}x

・最初のカッコから「a」、真ん中のカッコは「x」、最後のカッコも「x」・・・a\times x\times x=ax^{2}

・最初のカッコから「a」、真ん中のカッコは「x」、最後のカッコは「a」・・・a\times x\times a=a^{2}x

・最初のカッコから「a」、真ん中のカッコも「a」、最後のカッコは「x」・・・a\times a\times x=a^{2}x

・3つのカッコとも「a」を選ぶ・・・・・・・・・a\times a\times a=a^{3}


という8パターンが考えられて、これらを全て足すと、


    \bm{x}^{\bm{3}}+\bm{3}\bm{a}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{a}^{\bm{2}}\bm{x}+\bm{a}^{\bm{3}}


とまとまって、当然のことではありますが、さっき計算したのと同じ式になります。


またもや繰り返しになってしまいますが、「a」という文字を⊿xに置き換えれば、


    \bm{x}^{\bm{3}}+\bm{3}\text{⊿}\bm{x})\text{・}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}(Δx)^{2}\text{・}\bm{x}+(Δx)^{3}


です。


\text{⊿}y=(x+x^{3})-x^{3}を計算すると、さっき見たようにx^{3}の項は差し引かれて消えて、


 \text{⊿}\bm{y}=\bm{3}\bm{(}\text{⊿}\bm{x}\bm{)}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}(Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{2}}\bm{x}+\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{3}}


だけが残ります。


これを⊿xで割ると、それぞれの項の⊿xが1つずつ約分されて消えるので、


  \bm{3}\bm{x}^{\bm{2}}+\bm{3}\bm{(}\text{⊿}\bm{x}\bm{)}\bm{x}+\bm{(}Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{2}}


となります。


そうすると、極々微々たる値「⊿x」を含まない項は「3x^{2}」のみになってしまいます。それが故に、y=x^{3}を微分すると3x^{2}になったわけです。


この結果が出てきた最大のポイントは、「(x+a)の乗」を展開したときに「ax^{2}」の項の係数((x+\text{⊿}x)^{3}であれば、「⊿x\text{・}x^{2}」の前に出てくる係数)が「」という、もとの関数「xの3乗」の「3」と同じ値にとなったことにあります。


一体なぜ、ここに「」なる係数が出てきたのかというと、これは、「3つあるカッコのうちの2つから『x』を選ぶ組み合わせのパターン数」だからです。


先に見たとおり、3つあるカッコのうちの2つから「x」を選ぶ組み合わせは、


・最初のカッコと真ん中のカッコからxを選ぶ

・最初のカッコと最後のカッコからxを選ぶ

・真ん中のカッコと最後のカッコからxを選ぶ


という3パターンです。

そして残り1つのカッコから「a」を取ります。それぞれ「xを2つとaを1つ」掛けてax^{2}。それが3つあるから3ax^{2}になっています。


「3つあるカッコのうち2つから『x』を選ぶ」というのは、「3つあるカッコのどれかひとつだけ『a』を選ぶ」ということでもあります。

そうすると、カッコが3つあれば、そのうち1つだけ「a」を選ぶパターンは「最初のカッコ」か「真ん中」か「最後のカッコ」かの3つしかありません。

つまり、このパターン数はカッコの数と同じなのです。


カッコが100あればパターン数は100。カッコがn個ならば、パターン数は「n」になるわけですが、このカッコの個数「n」とは何かというと、これは「n乗」のnそのものにほかなりません。


このnが、(x+a)^{n}を展開したとき「ax^{n-1}」の前にきて「nax^{n-1}」になります。

「a」を「\text{⊿}x」に置き換えれば、「n・\text{⊿}xx^{n-1}」です。

そして、この中の⊿xは分母のΔxとの約分によって消えてしまいます。

その結果、この項は「n\text{・}x^{n-1}」となって、\text{⊿}xに左右されない値と化します。

これ以外の項は、約分された後にも⊿xが残るために極小の値になってしまい、ゼロと同等の扱いを余儀なくされるところとなってしまいます。


と、いうわけで、nが自然数の場合、y=f(x)=x^{n}を微分すると、


      \bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}


だけが”目に見える値”として残る、というわけです。


もし、x^{n}の前に何か係数「a」がついている場合、y=f(x)=ax^{n}という関数であれば、それに「a」を掛けるだけ。


      \displaystyle \frac{dy}{dx}=\bm{a}\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}


です。



■「マイナスn乗」でも同じ公式が使える■

この「x^{n}をxで微分すると、nx^{n-1}になる」という微分計算の公式は、nが自然数でなくとも、たとえば「マイナスn乗」の場合でも同じように使えます。

すなわち、y=f(x)=x^{-n}という関数をxで微分すると、


       \displaystyle \frac{\bm{d}\bm{y}}{\bm{d}\bm{x}}=\bm{(}-\bm{n}\bm{)}\bm{x}^{-\bm{n}-\bm{1}}


になります。


本当かどうか、ここで、再び微分の定義式により。


      \displaystyle \frac{\mathbf{\Delta} \bm{y}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}=\frac{\bm{f}\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}-\bm{f}\bm{(}\bm{x}\bm{)}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}

             =\displaystyle \frac{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{-\bm{n}}-\bm{(}\bm{x}\bm{)}^{-\bm{n}}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}    ……③


を計算してみます。


まず、x^{-n}とは何かというと、「0.5乗とな一体どういう意味なのか」の中に出てきた指数法則のとおり、


      \displaystyle \bm{x}^{-\bm{n}}=\frac{\bm{1}}{\bm{x}^{\bm{n}}}


です。

つまり、③を書き換えれば、


      \displaystyle \frac{\frac{\bm{1}}{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}}-\frac{\bm{1}}{\bm{x}^{\bm{n}}}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}


となります。

分子にある分数を通分してまとめると、


      =\displaystyle \frac{\frac{\bm{x}^{\bm{n}}-\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}}{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}\bm{x}}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}

          =\displaystyle \frac{\bm{x}^{\bm{n}}-\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}}{\bm{\{}\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}\bm{\}}\text{・}\mathbf{\Delta} \bm{x}}


という形にできます。


ここで、まず分子に注目。これを書き換えれば、


      \bm{x}^{\bm{n}}-\bm{(}\bm{x}+Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}=-\bm{\{}\bm{(}\bm{x}+Δ\bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}-\bm{x}^{\bm{n}}\bm{\}}


です。

これは、nが自然数のときのy=f(x)=x^{n}の微分の定義式の分子「f(x+Δx)-f(x)」にマイナスをつけたものと同じです。


そこで、これを


      \displaystyle \frac{\bm{x}^{\bm{n}}-\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}}{\bm{\{}\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}\text{・}\bm{x}\bm{\}}\text{・}\mathbf{\Delta} \bm{x}}

      =\displaystyle \frac{-\bm{1}}{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}}\displaystyle \frac{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}-\bm{x}^{\bm{n}}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}


と書き換えてみれば、この式の後ろ半分は「y=x^{n}をxで微分したもの」と同じになります。

公式を使えば、これは、


          =\displaystyle \frac{-\bm{1}}{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}}・{\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}\bm{\}}


ということです。


今度は、この式の前の部分の分母に目を向けてみます。


Δxはほとんどゼロといってもいいくらいの極々わずかな値です。

とするならば、(x+Δx)は「ほとんど『x』といっても差し支えない値」として扱っていいのではないでしょうか。


この「x+Δx」を思い切って「x」としてしまえば、この式は、


      =\displaystyle \frac{-\bm{n}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}}{\bm{x}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}}

          =\displaystyle \frac{-\bm{n}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}}{\bm{x}^{\bm{2}\bm{n}}}


とまとまります。

分母の「x^{n}x^{n}」が「x^{2n}」に変わっていますが、これも「0.5乗とは一体どういう意味なのか」の中に出てきた指数法則に基づきます。


さらに、分母は「『xの2n乗』分の1」ということですから、これまた指数法則によって、


      \displaystyle \frac{\bm{1}}{\bm{x}^{\bm{2}\bm{n}}}=\bm{x}^{-\bm{2}\bm{n}}


と書き換えられます。


これを用いると、


      \displaystyle \frac{-\bm{n}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}}{\bm{x}^{\bm{2}\bm{n}}}

         =-\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}\bm{x}^{-\bm{2}\bm{n}}


という形にできます。

そのうえさらに、この式の「x^{n-1}x^{-2n}」の部分は、またもや再び指数法則によって、


      \bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}\bm{x}^{-\bm{2}\bm{n}}=\bm{x}^{\bm{(}\bm{n}-\bm{1}\bm{)}-\bm{2}\bm{n}}

                     =\bm{x}^{-\bm{n}-\bm{1}}


とすることができてしまいます。


その結果、この式は、


      =-\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}\bm{x}^{-\bm{2}\bm{n}}

          =-\bm{n}\bm{x}^{-\bm{n}-\bm{1}}


というシンプルな形になってしまうのです。


最初と途中と最後の結果をかいつまんで書けば、y=f(x)=x^{-n}という関数をxで微分した結果は、


       \displaystyle \frac{\bm{d}\bm{y}}{\bm{d}\bm{x}}=\mathbf{\lim}_{\mathbf{\Delta} \bm{x}\rightarrow \bm{0}}\frac{\mathbf{\Delta} \text{y}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}=\mathbf{\lim}_{\mathbf{\Delta} \bm{x}\rightarrow \bm{0}}\frac{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} x\text{)^{}-\bm{n}}-\bm{x}^{-\bm{n}}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}


              =\displaystyle \mathbf{\lim}_{\mathbf{\Delta} \bm{x}\rightarrow \bm{0}}\frac{\bm{x}^{\bm{n}}-\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}}{\bm{\{}\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}\text{・}\bm{x}\bm{\}}\text{・}\mathbf{\Delta} \bm{x}}

         =\displaystyle \mathbf{\lim}_{\mathbf{\Delta} \bm{x}\rightarrow \bm{0}}\frac{-\bm{1}}{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}}\displaystyle \frac{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}-\bm{x}^{\bm{n}}}{\mathbf{\Delta} \bm{x}}

         =\displaystyle \mathbf{\lim}_{\mathbf{\Delta} \bm{x}\rightarrow \bm{0}}\frac{-\bm{1}}{\bm{(}\bm{x}+\mathbf{\Delta} \bm{x}\bm{)}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}}・{\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}\bm{\}} ←ここで「Δx」をゼロ同然の扱いにする。

         =\displaystyle \frac{-\bm{n}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}}{\bm{x}^{\bm{n}}\text{・}\bm{x}^{\bm{n}}}←もはやΔxはなくなったので「lin」も不要に。

              =-\bm{n}\bm{x}^{\bm{n}-\bm{1}}\bm{x}^{-\bm{2}\bm{n}}

          \displaystyle \frac{\bm{d}\bm{y}}{\bm{d}\bm{x}} =-\bm{n}\bm{x}^{-\bm{n}-\bm{1}}


と、見事、公式通りの形になりました。   ◇